Story

じょりじょりと髪を剃り落とし、欲もそぎ落とし尼になった。

彼女は昔、ギラギラと目を光らせて砂漠を走った賊だった。

もっと昔は、和歌を詠みながら遠い目をする高貴な家の姫だった。


昔。

その土地には自由を求めて旅をするもの、

安らぎを得ようとその地に留まるもの、

富を得ようとして人を騙すもの、

その日暮らしの人生を精一杯楽しむものがいた。


山は高く、土地は荒れ、乾いた大地は人を苦しめたが、

夕陽は旅人でも、商人でも、悪人にさえも癒しを与えた。

街は貧富の差が増していき、銅貨や紙幣が飛び交った。

この土地で弱者と見なされれば、重い足枷をつけて一生服従することになった。

そんな土地に一人の少女は生きていた。

身寄りのない少女は荒野に住む少年たちに助けられた。

少女はアケビという姫だったが、少年たちによってロマニと名付けれらた。

ロマニ。今日だけの幸せという意味らしい。

少女はやがて成長し、荒野の賊の女王となった。


Queen of Bandits.

名前が変わり、身分が変わり、3つの人生を生きた女。